ヨコオタロウ節が随所で炸裂! 舞台『君死ニタマフ事ナカレ 零』のゲネプロ潜入レポート
シシララTVのタダツグです。今回のブロマガでは、12月21日より開演した舞台『君死ニタマフ事ナカレ 零』のゲネプロにお邪魔してきたので、自分の感想を交えつつその魅力をお伝えしていこうと思います。
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そもそもこちらの作品は、月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)にて好評連載中の人気コミック『君死ニタマフ事ナカレ』の舞台版。舞台原作を手掛けるのは、僕が長年ライティングを担当してきた『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズや『NieR』シリーズのディレクターであるヨコオタロウさん! さらにキャストとして、我らが藤嵜亜莉沙さんが「煤竹(すすたけ)」役で出演することもあり、ぜひにとお願いしてゲネプロを取材させていただくことになりました。
ストーリーとしては、コミック版の前日譚にあたる内容。自衛隊の訓練施設に集められた超能力を持つ少年少女たちが、自らの超能力を伸ばすための訓練を受けていくうちに、少しずつ国家ぐるみの陰謀に巻き込まれ、心を病んでいく姿が描かれていきます。以下は公式サイトにあるテキスト。
■ストーリー
21世紀に入り、初めて実用化されようとしている「特殊能力」。
戦争することのできない国は、軍備に代わる戦闘力としての「特殊能力者」を育成しようとしていた。
その能力は少年少女にしか発現しなかった為、国は新たな教育機関を設立する。
第一期生にふさわしい学生を選抜する為、自衛隊の訓練施設に集められる多数の中学生達。
それは、戦闘訓練としての名目であったが、その実は「特殊能力」の限界を試すための試験場であった。
いかがですか? 不穏でしょ!?(苦笑)
舞台を鑑賞したところ、登場する人々がいずれも心になんらかの闇、そして弱さを抱えており、それを容赦なくえぐるストーリーが展開するという、じつにヨコオさんらしい作品となっていました。クルんだよなぁ……心にクル。ここらへんは脚本の麻草郁さんや脚色・演出の松多壱岱さんが、ものすごく世界観をよく理解されている表れだと感じました。
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▲ちなみにこちらは私物のコミックス版。なぜか本棚に2巻が見当たらないという「マンガオタクあるある」が発動していてめっちゃ悶々としています……。どこいったんだよ2巻!!(涙)
舞台版のキャスト陣は下記の通り(公式サイトより)。
サクラ:今出舞さん
ハクジ:大島崚さん
ボタン:栗生みなさん
ウスキ:北村悠さん
クチバ:遠藤瑠香さん
ミズカキ:黒藤結軌さん
ハジゾメ:永吉明日香さん
ツツジ:未来みきさん
スミ:丸山直之さん
コウジ:正木航平さん

赤住(あかすみ):立道梨緒奈さん
煤竹(すすたけ):藤嵜亜莉沙さん
刈安(かりやす):田嶌友里香さん

潤(うるみ):大石和暉さん
紅(くれない):高野光平さん
千草(ちぐさ):堀丞さん
木賊(とぐさ):笠作侑矢さん
洗柿(あらいがき):松川貴則さん

蘇芳(すおう):五十嵐啓輔さん
新橋(しんばし):鵜飼主水さん

アンサンブル:わたなべかずひろさん、大森将さん
なんと、『アイドル八犬伝』の生放送にお越しいただいた未来みきさんも出演されているんです。どなたもめちゃくちゃ魂がこもった演技を見せてくださったのですが、僕はどうしても藤嵜さんと未来さんの演技に目が行ってしまいました。身内ならではの色眼鏡というのはあるかもしれませんが、お2人とも力が入った熱演でしたよ。
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とくに藤嵜さんが演じる煤竹は、主人公たちを管理する側……いわゆる「体制側」の人間として、ものすごく冷徹なキャラとして登場するのですが、コレがぞくっとするほどいいんですよ。藤嵜さんの女優としてのポテンシャルをまざまざと見せつけられた気分です。これは社交辞令じゃないですよ。
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前半は日常パートとでもいうべき学生たちの訓練の様子が平穏に描かれ、そこから後半に進むにつれて少しずつ日常が浸食され、歯車が狂っていくストーリーはとにかく圧巻。オープニングやエンディングにダンスあり、超能力の演出と融合した迫力のアクションありと、見どころは満載です。
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ウスキやボタン、スミといったコミック版にも登場する面々が活躍するのも注目ポイント。彼らがどのような経緯を経て、コミック版のような人物になったのかがよくわかるので、原作ファンならそれだけで見る価値アリです。僕はボタンが好きなので、舞台で活躍してくれてちょっと嬉しかったなぁ。
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ここでちょっとゲーマー的な視点で言わせてもらうと、物語の随所に『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズや『NieR』シリーズの楽曲が使用されているのが猛烈にツボでした。音楽がいい感じに物語を盛り上げるのはもちろん、ヨコオワールドの広がりまで感じさせてくれてグッときます。『ドラッグ オン ドラグーン』のファンであれば、「尽きる」が流れるとそれだけで心がザワッとするでしょうし、この先に不穏な何かが待ち受けていることも予測できますよね? このお約束感もまたいいなぁ、と。こういった楽しみ方は、ある意味ヨコオタロウさんの作品を遊んでいるプレイヤーならではの特権ともいえそうです。
あと、ボタン役の栗生みなさんが歌う主題歌「Colorless」もバツグンにいいんですよコレが。やはり、音楽が作品に与える影響というのはものすごいなと改めて実感しました。
ということで、舞台としてもヨコオワールド作品としても、じつによく出来ていたこの『君死ニタマフ事ナカレ 零』。気になる方はぜひ公式サイトをご覧いただき、少しでも見てみたいと思った方は、ぜひ鑑賞してみてほしいです。12月25日までの公演となっていますので、善は急げですよ!
『君死ニタマフ事ナカレ 零』→公式サイトはコチラ
また、ゲネプロ終了後には藤嵜さんにお時間をいただき、簡単なメッセージも預かってきました。
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「煤竹役の藤嵜亜莉沙です。今回の舞台は、原作ファンの方はより深く物語を理解いただけるような内容になっているのはもちろん、知らない方でもバッチリ楽しめる出来栄えに仕上がったのではと思っています。ウスキ君やボタンちゃんたちがどんな人間なのかを掘り下げる内容にもなっていますので、舞台を見てもらえれば、彼らのことがもっと好きになれるのではないでしょうか。全員で一丸となって最後まで盛り上げていきますので、原作ファンの方もそうでない方もぜひ一度ご覧いただければうれしいです!」
そんな藤嵜さん、シシララTVの生放送で見せてくれる顔とは全然違った一面を見せてくれているので、ファンの方は必見。かと思えば、
「ゲネプロ終了後の写真撮影でタダツグさんが写真を撮ってくれているとき、しっかり撮れているのかハラハラしました(笑)」
と、まさかの心配までしてくれていて、やっぱり優しいよなぁ~と。……よく考えると僕が頼りないってことなのかもしれませんが(というか絶対そうなんだろうケド)、でもって、やっぱり撮影の腕はしれたものだったりもするのだけども……。なんというか、しっかりとそんな配慮までしてくれるあたり、いつもの藤嵜さんでホッとしました。煤竹を演じているときは、ちょっち怖いくらい凛としてましたからねぇ。
でもってヨコオタロウさんといえば、最新作である『NieR:Automata』にも期待が高まる今日この頃。こちらは本日12月22日に、PlayStation Storeにて体験版が配信されること、みなさんはご存知でしたか? 僕は電撃で記事化するためにひと足早くプレイさせていただきましたが、爽快感バツグンのハイスピードアクション&これまたとんでもないストーリー展開(の一端)に触れることができるんです。体験版は無料でプレイできますので、PS4をお持ちの方は絶対に遊んでみて欲しい。イチ担当ライターとして、みなさんが遊んでみての感想を聞いてみたいなぁと思っていたりします。
それでは、本日はこのへんで!
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テキスト:タダツグ(Tadatsugu) シシララTV編集部、電撃編集部などで活動中のゲームライター/編集。生放送にも出演中。いつまでも少年の心を忘れないピーターパン症候群を自認するケツ合わせ系テキスト書き。好きなゲーム:『ニーア』シリーズ、『ヴァルキリープロファイル』シリーズ、『ペルソナ』シリーズ、『パズル&ドラゴン』など多数。

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