原作者との共同開発で「フリージング」の世界を再構築する──『フリージング エクステンション』クリエイター対談(前編)
クリーク・アンド・リバー社が2018年夏に配信予定のiOS/Android用アプリ『フリージング エクステンション』。本作は人気マンガ「フリージング」を題材にしたタイトルで、人類を滅亡の危機へと追い込んだ“ノヴァ”と、彼らに対抗できる唯一の存在“パンドラ”と呼ばれる少女たちの戦いが描かれていくことになる。
今回は『フリージング エクステンション』の開発を務める金度亨氏、原作の林達永氏、作画の金光鉉氏ら3名へのインタビュー企画をお届け。自身も多数のゲームをプロデュースしてきたゲームDJ安藤武博が、作品の開発秘話を聞き出していく。
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▲写真左から林達永氏、金光鉉氏、金度亨氏、安藤武博。
安藤武博(以下、安藤):先日、『フリージング エクステンション』の日本におけるクローズドβテストが終了しました。みなさんの現在のお気持ちをお聞きしていいですか?

金度亨氏(以下、敬称略):日本のゲームファンからはとても熱く、うれしい反応をいただきました。原作の「フリージング」はお色気要素の強い作品ですが、バトルものとしての魅力も満載なんです。『フリージング エクステンション』もキャラクターの可愛さだったり、お色気要素だったりを作品の魅力として取り入れていますが、根本には熱いバトル要素が盛り込まれています。CBT版をプレイした方たちには、その魅力をしっかり感じ取ってもらうことができたようです。
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安藤:原作者サイドである林達永さんと、金光鉉さんはゲームをプレイされましたか?

林達永氏(以下、敬称略):はい。原作のキャラクターや世界観を大事に作ってくれていることがわかってうれしかったです。

金光鉉氏(以下、敬称略):自分たちが生み出したキャラクターが動いたり、技を繰り出したりすることに感動しました。2Dのキャラクターの技も格好いいですし、3Dキャラクターも可愛く描かれています。自分の想像以上のアクションだったので、作画担当としてはもちろん、ひとりのゲーマーとしてもうれしかったですね。自分でキャラクターを育てたり、個別のストーリーを読んだりしていると、彼女たちの新しい魅力に気付かされることもあったりして、とても新鮮でした。
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安藤:「フリージング」は過去にTVアニメ化もされましたが、アニメとゲームで違いを感じる部分はありますか?

林達永:どちらもうれしい経験であることは間違いないのですが、アニメはキャラクターの動きなどを視聴して楽しむものでした。一方、ゲームはプレイヤーが自分でキャラクターを操作できるのが大きな魅力だと思います。

金光鉉:わたしも同じ感想です。アニメは作られた映像を見て満足するコンテンツですが、ゲームは自分で操作して、キャラクターたちを身近に感じられるのがいいところですね。
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安藤:「フリージング」は2007年からはじまった長期連載のマンガですが、そもそもどういった経緯ではじまったものなのでしょうか?

林達永:自分はヤングガンガンで連載した「黒神」という作品がきっかけで、日本でも活動をはじめました。その後、キルタイムコミュニケーションさんのコミックヴァルキリーでオリジナルコンテンツを発表する機会をいただくことになったんです。「フリージング」はそのときに作った作品なのですが、もともとは1巻で完結になる予定でした。
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安藤:そうだったんですか?

林達永:フォトグラファー(自己紹介)になる作品になればいいなと思って作った作品でしたので……。そのため、「フリージング」には美少女だったりバトルだったりと、自分が好きなものを詰め込めんでいます。そんな作品がゲームになったので本当にうれしいですね。

安藤:『フリージング エクステンション』は、原作サイドのお2人が思い浮かべるゲームの理想の形になっていましたか?

林達永:はい。「こういうゲームになってほしい」という形になっていてうれしかったです。

金度亨:『フリージング エクステンション』には、原作のお2人にもガッツリと制作に携わってもらっています。そのため、本人が思い浮かべる理想のゲームになっているのは当然と言えば当然とも言えますね(笑)。ちなみに、2人と一緒にゲームを作る際に志したのは“リニューアルした新しい「フリージング」を作り上げる”というものでした。

安藤:具体的には、ゲームのどういった部分をいっしょに作っているのでしょう?

金度亨:わたしも含めて3人で考えたのは、“そもそも「フリージング」というIPに頼らなくてもおもしろいゲームを作る”というものでした。ファンに喜んでいただける内容にするのはある意味当然のことで、そこからさらに、この世界感に初めて触れる人にも興味を持ってもらえればと考えたんです。
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安藤:そのための施策などはどういったものを?

金度亨:「フリージング」の世界観を洗い直すところからはじめました。連載をしていくなかで生まれた設定などもあったので、それを最初から盛り込むような展開に組み直す、といった再構築ですね。ゲームだけのオリジナルキャラクターも追加して、ファンにも新鮮に映るようにしています。ほかにも、2人には2Dキャラクターのディレクションや個別のストーリーもお願いしています。とくに個別ストーリーは、原作の何倍もの量があるので、本当に一緒にゲームを作り上げてくれていると思っています。

安藤:ゲームでは、原作ストーリーのどのぐらいまでを体験できるのでしょう?

林達永:リリース時には15~16巻ぐらいまでのストーリーが収録されていますが、その後も随時追加していく予定です。

安藤:ゲームだけのオリジナルストーリーにも期待が高まっていると思います。実装の予定はいかがですか?

林達永:はい。最近の「フリージング」は格闘マンガとしての色が濃くなっていますが、もともとはキャラクターを好きになってもらいたくてはじめた作品です。ゲームでは彼女たちの個別ストーリーがたくさん入っているので、その部分をぜひ楽しんでいただければと思います。また、シラユキ・ヒメのようなオリジナルキャラクターも登場し、当然ながら彼女たちの物語も盛り込まれていきますよ。

金度亨:いずれはゲームオリジナルのキャラクターを、原作のほうに登場させるといったコラボレーションも実現させられればと思っています。ぜひお楽しみに!

(後編につづく)

後編はコチラ→「フリージング」は「エリア88」の影響を受けている!?
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テキスト:カワチ(Makoto Kawachi) 1981年生まれ。ライター。ビジュアルノベルに目がないと公言するが、本当は肌色が多ければなんでもいい系のビンビン♂ライター。女性声優とセクシー女優が大好き。
ツイッターアカウント→カワチ@kawapi
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