【Pato Box】アヒルボクサーが悪の組織をパンチアウト! 見た目はコミカル中身はシリアスな王道復讐劇【するめインディーゲーム/第6回】
お久しぶりです、するめ(以下)マンです。前回のコラムで「第6回目はすぐに更新する」と言ったにもかかわらず、この体たらく。随分期間が空いてしまって本当にごめんなさい! 
ここ最近は、発売前の重たい新作RPGをいくつか先行でプレイしていたり、設定資料集のお仕事をしていたりと、やたら時間がかかる仕事ばかり受けていて身動きが取れませんでした。本当にごめんなさい。よければインタビュアーを担当した『レイジングループ完全読本(hobby japan)』買ってね(宣伝)。

さて、大きなお仕事もひと段落ということで、今回からわりと心を入れ替え“NEWするめインディーゲーム”として、コンスタントにインディーゲームを紹介していきたいと思います。ちなみに、ゲームで「NEW」とつく場合は開発会社が替わって違うゲームになっていることもありますね。つまり、私も入れ替わっている……? というわけで、今回はずっと紹介したくてたまらなかったゲームをピックアップしたいと思います。

それが『Pato Box』! Bromioから1,520円で配信中の作品です。3月16日(Steamのミスで21日まで購入できなかったけど)に配信された作品なのですが、息抜きに遊んでみたところ、おもしろすぎて一気にクリアしてしまいました。

いつも、言っていることの9割5分がふざけていると周囲に太鼓判(?)を押されるほどの自分なのですが、そんな自分が本気で広めたいくらいおもしろい。しかし、こんなにハマったゲームなのに、ちっとも全然話題になってない。サマーセールで安くなってるのに!? これはおかしいですよ。さっそく紹介しなければ!

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本作の主人公は、人間の肉体にアヒルの頭を持つ「PATOBOX」。どこにでもいるアヒルのボクサーです。私も、人間の肉体にスルメの頭を持つ怪人なので親近感が沸きます。いけない、話がズレてしまった。

そんなボクサーであるPATOBOXは、試合中にスポンサーのDeathflock社に裏切られ、薬を盛られてしまいます。試合後、路地裏に捨てられて死にゆく運命となったPATOBOX。謎の女性・FAITHに助けられた彼は、自分を裏切ったDeathFlock社の幹部たちとの戦いに身を投じることになります。
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▲裏切られ、路地裏で倒れているPATOBOX。すべてを失って死にゆく彼の復讐劇がここから始まることに!
見た目がアヒルだからコミカルなストーリーかと思いきや、ガチガチのシリアスな導入にビビる自分。むしろ、割とおバカなゲームを期待して買ったのに、演出も音楽もハイクオリティで、よい方向に予想外だったんですよ!

モノクロの版画のようなデザインに、コミック調のコマ割りを多用したグラフィック。気合の入った作り込みのステージにミニゲーム。バリエーション豊かなボス戦。プレイしてすぐに「これはもしかしておもしろいのでは……?」と考えを改めました。
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▲カンタンな英語とはいえ、ストーリーが日本語訳されていないのが惜しいところ。コレはガチで日本語で遊びたい!
■レーザー光線や火炎放射を潜り抜けてアッパーカット! ボス戦は21世紀の『パンチアウト!!』だ!

このゲーム最大の魅力は、なんと言ってもボス戦。公式が「任天堂の名作『パンチアウト!!』シリーズにインスパイアされた」と公言しているとおり、戦闘は1対1で向かい合うボクシングスタイルになっています。相手の攻撃をドッジで左右に回避し、ジャブやアッパーカットで反撃。攻撃の基本は『パンチアウト!!』といっても差し支えないでしょう。攻撃は、ね。
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▲基本の構図はボクシングスタイル。避けて殴って反撃せよ!
しかし、いざ戦いが始まるとインスパイアされた元とは違うというか、こいつら全然ボクシングしねえ! いや、PATOBOX側は正々堂々と拳で戦ってるんですよ。ただ、相手が全然ボクシングをしてこない。レーザー光線で焼き尽くそうとしてきたり、火炎放射器で焼き殺そうとしてきたり、アツアツのスープを投げつけてきたりと、スポーツマンシップの欠片もありません。まあ、悪の組織だからねえ……。
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▲ビームとか爆弾が平気で飛び交うバトル。こちらは拳と回避だけで立ち向かうのがシビレますが、拳銃くらい使ってもバチは当たらないのでは?
ボクシングとは違う動きがどんどん出てくるので戸惑いますが、これだけで、本作が単なる『パンチアウト!!』のリスペクトではないことがわかっていただけたかと。インスパイア元以上に相手の予備動作や動きを覚えて反撃することが重要となるで、ぶっちゃけ覚えゲーな側面もあるのですが、そこが超気持ちイイ!

ビームをシュシュっと避けてアッパーをたたき込み、火炎放射器をやり過ごしてみぞおちをぶん殴り、ロボットを破壊して銃撃を防ぐ。料理人にジャブでネズミを当て、爆弾をアッパーカットではじき返す。これ、本当にボクシングなのかい……?

相手がわけのわからない攻撃ばっかりしてくるので、最初はボッコボコにやられることも多く、もしかすると初見では難しく感じるかもしれません。ですが、理不尽なことはいっさいありません。どんな攻撃にも必ず予備動作があり、それらを覚えればノーダメージで倒せます。

すべての攻撃は回避かブロック。または特定のタイミングで攻撃することで防げるようになっており、反撃できるポイントも多数用意されていて、一方的な俺のターンはありません(1人だけ、完全な音ゲーがはじまるおかしなボスもいるのですが、それはまあ例外ってことで)。負けた理由は確実に自分のせいですし、戦えば戦うほど動作を覚えられるので「あと少しで勝てる……!」という気持ちになりやすいのです。

理不尽に強く感じたボスをあっさりとマットに沈めたときの快感。それは、このゲームを強く推したいという気持ちを抱くのに十分な爽快感でした。SEも“殴ってる感”がありますし、トドメを刺したときに画面がズームアップするなど、1つ1つの演出がプレイヤーを気持ちよくさせることに特化しています。
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▲敵にトドメを刺したときの演出に「してやったり!」感があってすごく好き。殴った瞬間にバシーンバシーンバシーンバシーン(エコー)。
本当に、細かいところがイチイチ凝っていてカッコいい! たとえば、ボスとの戦いは3ラウンド制になっていてラウンドが変わると攻撃パターンも変化するのですが、ラウンドが切り替わる演出も見事。パンチを当てた瞬間に画面がズームアップして背景の小物が吹き飛び、視覚的に相手を追い詰めたことがわかります。
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▲画面左側の絵に注目。このボスの場合は、追い詰めていくことで絵がパタンと倒れます。
さらに、最終形態である3ラウンド目に突入すると、背景にボクシングのリングと観客の幻がフラッシュバック。コレが本当にシビれるんですよ。ボクサーとしての栄光を奪われたPATOBOXの復讐劇という本筋ともマッチしていて、とにかく気分が高揚してきます。ボス戦の曲もそれぞれ違っている凝り様でサントラが欲しくなるくらい。というか買いました。

物語を進めていくと、倒し方や回避方法を工夫するボスも出てきて、さらに熱いボス戦が楽しめます。あまり言うとネタバレになるので避けますが、ラスボス戦のぶっ飛びっぷりも最高。それまでのボスに比べて簡単すぎたのは残念ですが、シチュエーションも決着も燃えるんだコレが。
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▲完全にパターンが決まっていて音ゲーのようにリズミカルに戦う必要があるPLAGANETESと、最初はまったく反撃の仕方がわからなかった料理人PIZZICANATRA。とくに好きなボス戦です。
どのボスも、初見はおそらく「難しい!」と思うはずですが、トライ&エラーでパターンを覚えていくといつの間にか楽勝になっている。そのうえで、どれもアイデア満載。本当に楽しいボス戦なので、ボクは大好きです。

■ステルス要素にカジノでコイン稼ぎ、振り子を避けて……ステージごとに異なるギミックが満載!

このゲームは、基本的に“裏切者を探す探索パート”と“実際にボスと戦うバトルパート”に分かれています。探索パートでは情報を収集し、それぞれのエリアでボスのいるフロアを目指すアクションアドベンチャーなのですが、これもまた手抜かりなし!

1つ1つのステージがしっかり作り込まれていて、ギミックもちゃんと違います。たとえば、最初のボスであるBRAUCHのステージでは、監視カメラから隠れて進むステルス要素アリ。ギミックを破壊して進む要素アリと、初っ端から割とアクションするステージになっています。

因縁のライバルボクサーKILPATRICKのステージはカジノになっており、コインを稼がないとボスに会えません。スロットマシンやルーレットをプレイして集めるのもよし。そこら辺のスロットを破壊して取るもよし。豪快な万引き家族(万引きではない)。

即死ギミックだらけの料理人PIZZICANATRAがいるFood Factoryなど、頭にくるギミックがあるステージもたまにありますが、リトライポイントが細かく設定されているので、そこまで問題はありませんでした。
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▲ギロチンの当たり判定と移動の操作性が相まって苦戦したステージ。
自分は収集要素を無視して進めていったこともありますが、1周のクリアまで7時間程度。ボリュームはそこそこですが、遊べる内容はしっかり詰まっています。アップデートでボスと連戦できるアーケードモードも追加されましたし、非常に満足度の高い作品でした。
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▲追加されたアーケードモード。ひたすらボスと戦いたい人にオススメ。
海外ではNintendo Switch版も出るらしく、日本でのコンシューマ移植も問題ないはず。ストーリー自体のテキストが多く、シナリオを補足する細かなメモなどもあるので、もう1度言いますけど、しっかり日本語で遊びたいゲームなんですよ。

というわけで、このコラムを読んでいるフライハイワークスさんとか、架け橋ゲームズさんとか、PLAYISMさんとか、男気あふれるパブリッシャーさま! ぜひ、こいつをローカライズしてもらえないでしょうか? よろしくお願いします!!

え、こんなコラム誰も読んでないですと!? そ、そんなバカなバカなバカな……(エコー)。 
テキスト:するめ(以下)マン(Surume Ika Man) 正体不明の海産物。某編集部の椅子で寝ていたところ、首をやってしまって通院中。もう無茶できない年齢。

ツイッターアカウント→するめ(以下)マン@IkamanS2

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