ラー油です! 今年の夏はなんだか家庭用ゲーム機でアドベンチャーゲームの話題が豊富でワクワクしますね。今月だけでも新作で『大逆転裁判2』、『刑事J.B.ハロルドの事件簿 マーダー・クラブ』、『WHITEDAY~学校という名の迷宮~』、『深夜廻』、『探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK』があり、プレイステーションプラスのフリープレイでは傑作『Life Is Strange』が配信と、話題に事欠かない!
新作はすべて買う予定で、とりあえず『大逆転裁判2』からプレイ中ですが、やはりこの生き生きと動くキャラクターたち、キレ味満点のテキスト、優雅なBGMが醸し出す雰囲気は絶品。序盤から前作の気になっていたところを掘り下げてくれているし、立体視にガッツリ対応しているのもうれしいところです。
俺の好きな「SIMPLEシリーズ」でもアドベンチャーゲームは層が厚く、超展開の連発でハチャメチャが押し寄せてくる脱出ゲーム、主役が鑑識官と猫又と幽霊のトリオというオカルトと科学が交錯する推理ゲーム、豪華声優陣と練られた人物描写がウリの恋愛ノベル、ホラーなのに黒幕のチンピラみたいなセリフ回しが面白すぎて謎の魅力が溢れているホラーノベルなどなど。それだけで一晩語れるレベルの個性派ぞろいですよ。
しかし、最近はめっきり新作が出なくなってしまったので、とりあえず『THE 鑑識官』シリーズの続編を月100本出すところから頑張ってもらいたいですね。
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さて、今回はアドベンチャーゲームが熱いということで、ケムコのノベルゲーム特集!
ケムコと言えばファミコン時代に『シャドウゲイト』や『真田十勇士』などでインパクトを残したメーカー。ナムコと間違えられるのが持ちネタだったのですが、少し前にスマホで『Mega Run meets パックマン』というタイトルを配信して、余計にややこしくなりました。
ここ10年くらいはRPGを中心に、数えきれないほどのダウンロードタイトルを配信しているケムコ。なかでも、ノベルゲームは完成度の高い作品が多いので皆さんに紹介したい。
っていうかケムコ作品はどれもデキの割りに知名度が低すぎると思うので強く推していきたい!
1本目は『レイジングループ』!
ダウンロード専用タイトルで家庭用ゲーム機ではNintendo Switch、PS4、PS Vitaで配信中のノベルゲームです。PCでもDMMを中心に配信されている圧倒的マルチ展開。元々スマホで配信されていたタイトルですが、移植の際にパートボイスだったものをフルボイス化、多数の一枚絵や背景の追加、謎エンディングの追加、出演声優のおまけボイスの追加など色々パワーアップしています。
まずスマホからPS Vitaへ移植され、次にPS4。今年8月にSwitch版やPC版が登場という流れ。Switch版はジョイコンでの片手プレイにも対応しています。
スマホ版は1,600円で、それ以降の移植版の価格は3,000円。ダウンロード専用タイトルとしては高めの価格設定ですが、遊べば納得。遊べば驚愕。遊べば感動。むしろフルプライスでもおかしくない、圧巻の内容になっています!
内容はいわゆる「人狼ゲーム」をモチーフにしたホラーノベル。主人公であるバイク旅行者の「房石 陽明」さんが怪しげな風習が残っている集落にたどり着き、そこで恐ろしい殺人儀式「黄泉忌みの宴」に巻き込まれるというストーリーです。
「黄泉忌みの宴」は実在の人狼ゲームをモチーフにした儀式で、村人の中に紛れた「おおかみ」を話し合いで決めて処刑していくというもの。
人間と「おおかみ」にはそれぞれにルールがあって、人間は話し合いで1日に1人殺せる。「おおかみ」は1晩に1人必ず殺さなければならない。人間側には「加護」という特殊能力を与えられた人物も混じっています。
人間側は加護も活用して早急に「おおかみ」を見つけて殺さなければならない。さもなければ人間が全滅して「おおかみ」の勝利。特別なことが無ければ毎日死体が増えていきます。
村人の中に紛れ込んだ、人ではない「おおかみ」を見つけ出さないと毎晩必ず死者が出る! 最初はみんな半信半疑ながら確実に殺人は起こっているし、宴を終えるまで村から出ることが出来なくなるし、説明がつかない超常現象も起こっていく。
まさか人狼が実在していて、本当にオカルトパワーで人間を殺している……!? いや、そんなはずはない! プラズマよ! プラズマの仕業だわ!
なお、主人公は何故か「一度死んでも集落に辿り着く直前まで記憶を引き継いで戻れる」という謎の能力を手に入れています。つまり、ゲーム中に出る選択肢をミスって死んでも、そこで何かヒントをつかめれば別の選択肢に活用できるってこと。
たとえば、最初に到達した段階だと主人公が「絶対に出るな!」と言われた場所から出て殺されるけど、やり直して同じところに戻ると「出ない」選択肢が選べるようになったりします。この「死に戻り」を使って何度も何度も死んではループし、記憶を引き継いで謎の解明に挑むゲーム性ですね。
これはかつてケムコが出した、何か調べる度に突然の死でやり直しになるアドベンチャーゲーム『シャドウゲイト』を髣髴とさせますね……!
ちなみにチャート機能やヒント機能もあるので、ゲームの難易度自体は低いです。みんな、安心して死のう!
「黄泉忌みの宴」に巻き込まれた登場キャラたちは一癖も二癖もある連中ぞろい。明るくエロエロな女子大生に、あざとい設定満載なミステリアス巫女。
名家の愛すべきボンクラ、ツンツン丸顔女子高生、女装少年、インテリ兄とヤンキー弟の兄弟。外見を見ただけで未亡人だとわかる未亡人、頼れる若手のまとめ役アニキ。猟銃がトレードマークの頑固なマッチョジジイ、合間合間に念仏を唱えるババア、謎のヤバいジジイ、謎の幼女などなど。
個性の薄いキャラが1人たりとも存在しない! この中に「おおかみ」がいるッ!
大半の人間が同じ村の知り合い同士、友人同士、家族同士ということもあり、人間関係が「効率の良い進行」を阻害し、疑心暗鬼を生み、死体を生み、混乱と波乱がどこまでも連鎖していく。
主人公同様に外部から来た、カメラマンとライターの2人組も登場。こちらも見るからに濃い! どこぞの雛見沢村ではカメラマンと言えば時報で死ぬのがお約束でしたが、さてこのゲームでは……?
主人公もこのメンバーに負けてないどころかトップクラスに存在感アリ。造詣が深く、圧倒的なトーク力で会話を回し、プレイヤーが疑問に思う事をしっかり聞いてくれるので、テンポが良いし読んでいてストレスが溜まらない。
最初は「この主人公すげぇ頼りになるな!」と素直に思えるのですが、段々と「こいつ……頼りになるを通り越してヤバい奴では?」となってくるのも見どころ。
とにかく設定からして壮絶な展開が続くのですが、個性豊かな面々によるちょっとしたギャグパートも合間合間に挟まるのでホッと一息。このシリアスとギャグのバランスもちょうど良い塩梅で、ちゃんとキャラの掘り下げにもなっているのがうまい。
数えきれないほどループを繰り返す度に状況は変化し、「そこが変わったら全部変わっちゃうだろ!?」、「チェス盤を何度ひっくり返すつもりだ!」と叫びたくなる怒涛の展開の連発。そしてこのシナリオと、このシステムと、このキャラクターたちだからこそのエンディングに辿り着きます。
クリアまで30時間以上。しかし、一度始めたら続きが気になって睡眠時間を削って遊んでしまうこと必至! この圧巻の「人狼×JホラーADV」をぜひプレイしてもらいたい!
ちなみに、スマホ版は結構ボリュームがある1周目を丸ごと無料で体験できるので、とりあえずそれで雰囲気をつかんでみるというのもオススメです。
お次は『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』!
こちらもケムコのダウンロード専用のノベルゲームで、スマホとWii Uで遊べます。スマホ版とWii U版は同内容で、スマホ版は本体が540円で追加シナリオが120円×5本。Wii U版は最初から追加シナリオをすべて収録していて、1,080円となっています。
内容はズバリ「リア充になると爆発して死ぬラブコメ」!!
舞台はとある高校。クラスで1番の美少女でお嬢様である津野るみ子さんと、発育が残念なクラスメートの超暴力女である白詰乙羽の2人に呼びされた主人公。なんとこの2人からダブル告白を受け……!?
そして爆発! 死亡!
謎の声と共に爆発する前の瞬間に戻され、今のは幻覚だったのかと思うも、告白しようとしてた女の子2人も、隠れて様子を見ていた友人たちもしっかりとこの事件を覚えている。どうしてこんなことになってしまったのか不明。分かるのは「告白されると爆発するらしい」ということだけです。
ここから、仲間たちとともに爆発の謎を探っていく展開になっていくのですが、るみ子さんと乙羽の2人は定期的に発情したような態度になり、何故か爆死覚悟で告白テロを仕掛けてきます!
こちらも原因は不明。いきなり電話で告白しようとしてきたりとかなり危険。普通のギャルゲーと違って「ラッキースケベや告白イベントから逃げるような選択肢」を選び続けないと、爆発して死ぬという理不尽さが面白すぎる。
爆発してバッドエンドになるとヒントコーナーへ。マスコットキャラの「とろりん」が爆発の規模も解説してくれます。ゲームが進むとバッドエンドの爆発がどんどんパワーアップしていくのも見どころ。
選択肢はほとんど2択の片方がバッドエンドという単純なものなので、ゲームの難易度は低いです。安心してどんどんボンバっていけ!
基本はラブコメなのでとにかくアホなノリ。おもにおっぱいを中心にした謎のギャグを連発しながら進行していくのですが、段々とこちらの斜め上を行く方向にストーリーが進んでいき、登場キャラの驚きの過去や動機が明らかに……。
シリアス展開とラブコメ展開がクロスカウンターを決めてくるような超展開が次々に到来し、「これ、そういうゲームだったっけ!?」と何度も叫ぶことになるであろうぶっ飛びっぷり。謎が謎を呼び、爆発に次ぐ爆発に翻弄されつつも、クリアした後には「文句なしのラブコメだった!」と言い切れる1本です。
こちらも1,000円という価格ながら15時間以上は遊べるボリューム。ギャグのノリはかなり好みがわかれるところですが、ギャルゲー好きやノベルゲーム好き、そして『レイジングループ』でケムコのアドベンチャーゲームを知った人には是非やってもらいたい作品になっています。
最後は『トガビトノセンリツ』。
『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』と同じで、スマホとWii Uで遊べるノベルゲーム。Wii U版は最初から追加シナリオをすべて収録していて1,028円となっています。
内容は謎の施設に監禁された11人の少年少女たちが、「囚人」と「看守」の2つに分かれて殺し合いをさせられるデスゲーム作品。閉じ込められたメンバーは一部を除いて同じ高校の管弦部となっており、仲間同士の殺し合いを強要させられることに。
「看守」は1日に1回だけ「囚人」の1人を処刑、または解放することが可能。「囚人」の中に1人だけ紛れ込んでいる殺人鬼は、夜に「看守」を殺害するチャンスを与えられます。
「殺人鬼」が死んだら残る全員の勝ち。「殺人鬼」によって「看守」が全滅したら「囚人」側の勝ち。決着が付かないまま一定日数経過で全員敗北となります。
「看守」には警棒型のスタンガンなど「囚人」を制圧する権利が、「囚人」には「殺人鬼」以外に様々な特殊能力を持った役職があり、中にはゲームそのものをひっくり返すようなものも存在します。
最初は高校生同士でバカ騒ぎしながら明るくやっていくんですが、ゲームが進行していくに従って徐々にギスギスしていき、次々に死体が積みあがっていきます。様々な思惑が交錯する最悪の状況下で、主人公は自らが決めた「勝利条件」のために行動していくことに。